バンフ


皆さんは、バンフという町を御存知だろうか?ここは、カナディアン・ロッキー の観光中心の町である.もともとは温泉のある静養地であったが、今では活気の あるリゾート地へと発展した.それにしても日本人が多い.今回の旅行でもわか ったことなのだが、大体有名な場所には日本人の観光客がたくさんいるというこ とだ.


我々の目的地である親戚の家に着いたのは午後10時過ぎ.いくらカナダの日没が 遅いとはいってもこの頃にはすっかり日も沈んでしまい、辺りは真っ暗である. それとは、対照的に親戚の人達は明るく親切に我々をもてなしてくれた.


その後、親戚の人達と話しているうちにいつの間にか松茸狩りに行くことに なってしまった.現在の時刻午前1時過ぎ. しかも出発は午前6時.あと5時間もないではないか.

と言っている間に飛行機の乗り継ぎの疲れであっという間に眠りに陥った.

8/31(日)
次の朝早く、眠たい目をこすりながら松茸狩りに出かけた.ここから目的地のホット スプリングスまでは、片道だけで400km以上ある.途中運転を何回か交替しながら ようやく最終地点へと到達した.どうやら観光スポットではないめったに人が来ない ところらしい.


その場所に足を踏み入れてみると、そこはただの森であった。とはいっても右も左も 分からない原生林が生えている自然の世界だ.
 「くまが出ないうちにくまなく探そうぜ.」
結構動物に荒された跡はある.

結局、松茸はとれずじまいで戻ってくるはめになった.
 「どうだった?」
 「いや、全然とれなかったよ.」
 「なんだ、おれは期待して待つだけ損したじゃないか」
風邪をひいた君が悪いのだ.しかも風邪をひいたのをいいことに我々のいない 間にワーホリの人(ワーキングホリデーを利用して、外国で短期間の間働く人、 ここではもちろん20歳代の若い日本人女性)を家に呼んで、カレーをつくっ てもらったというではないか.羨ましい限りである.

ニューヨークの風邪はたちが悪い.ここにきて、もう一人の友人も体調をくずし てしまった.
 「彼は風邪の運び屋か?」
 「うん、そうや」(運送屋)
そんなことを言っている場合ではない.バンフの親戚中に風邪が広まってしまった. その罰ゲームとして、彼は料理長へと昇格し、食事をつくるはめになった.

9/1(月)
次の朝、早速我々は料理長の作った朝食を食べるはめになった.


 「なんだ、納豆じゃないか.日本と変わらないな.」
 「そうだよ.俺は茨城出身だから.納豆おいしいよ.」
 「なっとくいかん.ちょー.しょっくだよ.」
この日は、朝のミーティングでレイク・ルイーズとモレン・レイクに行くことになった.

小さい頃、よく学習机のマットとか学習帳の表紙に書かれていた絵を思い出し てほしい.レイク・ルイーズはまさにそんな場所だ.深い緑色の湖の向うには、 標高3464m のビクトリア山がそびえている.水は透明できれいだし、空気は気 持ちいいし、絵に書いたような場所だ.確かに書かれているが….


ここにも野性のりすがたくさんいた.側にいた友人は嬉しそうに近寄っていく.
 「あまりいきりすぎるなよ」
それにしても本当に野性のりすなのだろうか?かばんに入れてあったピーナッツ の袋を取りだし、手のひらに置いてみたらどこからとも数匹のりすが近寄ってき た.ためしにピーナッツをもったふりをして手をかざしてみてもりすは近寄って くる.

ここのりすは飼い慣らされているか、あまりにあほなのかのどちらかである.
 「リスだからと言って、あまりいい気になりすぎるなよ」
そう言いたかった.

9/2(火)


そして次の日、われわれは200km離れたコロンビア大氷原に向かうため、 朝早く出発することにした.コロンビア大氷原は、北極より南では最大の 氷塊だ.
しかしそれは、突然起こった. 途中にあるボウ峠を見て、ハイウェイに出ようとしたときのことであった.
 「何か今変な音しなかったか?」
 「なんかいやな予感がする」
とりあえず、ハイウェイの途中で車をとめることにした. どうやらタイヤがパンクしてしまっていたようだ.
 「まじかよ.どうすんだよ.」
 「とりあえず、近くのサービスエリアまでスペアのタイヤで走るしかないな.」
 「タイヤがパンクしたって、英語でなんて言うんだよ.」
 「パンクチュアだっけ?」
 「go flat だよ」
とてつもない絶望感に私の頭はパンクし、私の体は、ふらっとしていた. それでもなんとかスペアのタイヤで走り続け、無事に宿に帰ることが できた.そして、宿についてすぐ近くにある Hertz へと向かった.電話で 確認したところによると、どうやらパンクなどをした場合は車ごとかえて くれるようだ.事務所に行き、諸手続きをすませた後、次にレンタルする 車へと向かった.それは、白のトーラスであった. なんとアップグレードしてかえってきたのだ.しかも料金はいっしょ. パンク代も保険に入っているのでとられない.
 「ラッキー」
結果オーライである.

ここバンフでは、ありとあらゆるスポーツが楽しめる. 今回、やってみたいと思っていたことの一つに乗馬がある.これは、意外に 簡単なように見えて、なかなか難しい.
 「おー、なかなかうまく乗りこなしているな」
 「まあね.競馬やってるから馬の扱いは大体わかるんでね」
 「俺の馬は暴れ馬だよ」
確かに彼の乗った馬はおとなしそうにみえる.しかし、自分が乗った馬はいか にも我道を行く、といったような馬で言うことをまるで聞こうとしない.

そして、極めつけがゴルフ.標高2300m のサルファー山を眺めながらのゴルフ はなんとも贅沢な遊びである.クラブを握った瞬間、力がみなぎってくる. そう、ゴルサルファープロ、いや違った プロゴルファー猿になった気分である. ちょうど太陽も出てきて、絶好のゴルフ日和である.
 「チャー、シュー、メン!!」
 「飛べ.早く、強く、高く」
はじめてゴルフをやってみたが、これが意外にうまく飛んだ.もちろん、ボール ではなく、クラブだ.な〜んてことはないが、でもなかなかボールがまっすぐき れいにサインカープを描いて飛んだように思える.
 「サインはV」
と思わず、やってしまった.

市内の観光はしない予定だったが、親戚の方々に勧められてやることにした.